TLP(大学変革リーダー育成プログラム)

Transformational Leadership Program in Higher Education

2019

TLP_OLD

大学変革リーダー育成プログラム

ここから、次なるステージへ

近年の高等教育を取り巻く環境変化には目まぐるしいものがあります。大学財政の逼迫、AI技術革新による就業構造の変化、グローバル化に伴う教育研究の国際連携やモビリティの拡大、産学連携によるイノベーションの創出や地方創生など、大学内部にとどまらない、大学コミュニティの枠を超えた課題が山積しています。
こうした諸課題に対応すべく、大学におけるガバナンスやマネジメントの高度化が求められていますが、そのために不可欠なのは教職員の専門性や能力のさらなる開発です。この「大学変革リーダー育成プログラム(以下、TLP)」は、各大学の使命(建学の精神)や機能・役割を踏まえ、当該大学の特色や強みを生かした効果的な組織マネジメントを推進するため、現職の大学教職員はもちろん、今後大学など高等教育関連機関での職を目指す者、高等教育の教育研究マネジメントに関心のある者などを広く対象とし、日本の大学変革を推進し得る専門知識・技能・マインドを備えたリーダーを育成していくことを目的としています。

プレゼンテーション

海外現地調査

成果報告会

●修了時には、学校教育法105 条に基づく「履修証明書(Certificate)」が授与されます。
文部科学省「職業実践力育成プログラム」(BP)の認定を受けています。
厚生労働省「教育訓練給付金制度」の対象講座です。
【明示書】


TLPでは、各受講者が所属機関における現実的な問題を明確化し、その課題解決に向けて「改革案」を創り上げていきます。そのプロセスの中で、対面およびeラーニングのブレンディッド学習や国内外のフィールドワークにより、高等教育の基礎知識や最新動向を学びます。また、年に2回開催される集中セミナーでは、TLP受講者が集結し、改革課題に関するプレゼンテーションやディスカッション、アドバイザーによるコンサルテーションを通じて、改革案を錬成していきます。

1.一流講師陣によるセミナーをe-ラーニングで受講する柔軟な学びの場を提供する
2.対面型セミナーおよび実践的ワークショップを通して、最新の知識・技能を習得する
3.高等教育政策・実践に通じた経験豊かなアドバイザーが改革案作成のためにきめ細かな支援を行う
4.国内大学調査・海外現地調査を通し、最新事例を現場で学習することができる
5.課題研究を通して、各所属機関が抱える実践的課題を段階的に改善・改革する

TLPは到達目標として、次の4つを定めています。

1.高等教育に関する幅広い知識と最先端の動向を理解する【専門的知識・理解】
2.具体的・現実的な課題を把握し、背景にある要因を分析し、構造化する【課題発見・分析力】
3.課題解決に向けて、組織に主体的に働きかける実行力を身に付ける【実行力】
4.分析内容や自分の考えなどについて、口頭および筆記にて論理的に表現する【論理的表現力】

TLPでは、受講期間中、受講者全員が集まって学習する機会は計4回(集中セミナーI~IV)です。東北大学(仙台)で開催される対面型の集中セミナーでは、セミナーやワークショップなどを通して高等教育の最新動向を学ぶとともに、自身の改革課題との関連性をレポート課題で振り返ることで、多面的な考え方を身につけていきます。各集中セミナーでは、アクションラーニングに基づき、受講者の所属機関における改革課題を実行可能なものに発展していけるよう、段階的に進めていきます。その際、受講者は、改革課題の進捗状況についてプレゼンテーションを行いますが、大学マネジメントの実践に通じた経験豊かなTLPアドバイザーの先生方や他の受講者からの意見や助言があるほか、個別コンサルテーションの時間を設け、アドバイザーから、さらに詳細な助言や支援を得られます。これら第三者からのコメントを参考に、改革案を錬成していきます。改革案提出をもって、毎回の集中セミナーに関する活動が完結します。
TLPでは、合計180時間以上の多様な学習活動での学びを総合して、最終的に「最終報告書」をまとめます。最終報告書は、複数名の第三者審査を経て基準に達成することで、履修証明書が授与されます。最後に、本プログラムでの学びと成果を広く社会に還元することを目的に、「成果報告会」を開催します。

TLPは、社会人の学び直しに必要な柔軟な学習方法を確保し、いつでもどこでも学べるeラーニング科目を多数用意し、毎月レポート課題に取り組みます。また大学マネジメントを担うリーダーシップ力を向上させるため、受講者自らのペースで主体的にSelf-Directed Learning (自己主導型学習)で学びを進めていきます。

LPでは、東北大学高度教養教育・学生支援機構の提供するカリキュラムに従って、高等教育に関する基礎知識や最新動向を学び、これらの知識を統合しながら、受講者各所属機関の改革課題を考察し、議論し、実践可能な改革案へ高めていきます。下記の領域の下、2年にわたって180時間以上の活動を行います。

領域概要受講時間
必須科目日本や世界の高等教育政策、リーダーシップ論、教育設計、
認証評価、 学生発達、学生支援、研究政策、入試改革、
国際化戦略など、現在の高等教育の動向として知っておくべき必須の
知識と技能を学ぶ
60時間
フィールドワーク国内大学および海外(国際学会 /会議やワークショップ、
セミナーへの参加、または海外の大学や関連機関などの
オンラインインタビュー)での研究調査を行う
35時間
アクション・ラーニング受講者が設定した各所属機関の改革課題をめぐって、
各種セミナーやフィールドワークにおける学びやTLPアドバイザーや
他受講者との対話・討論を通して、実現可能性の高い
「改革案」の作成・省察・実践を行う。そのために2年で4回、
集中ワークショップを行う
70時間
選択科目各受講者が、自身の改革課題に基づき、高等教育政策論、
大学ガバナンス・マネジメント論、教育設計論、
質保証・学修成果評価論、学生発達・学生支援論、
研究マネジメント論、カレントトピックなどから科目を選択し、
大学にかかるマネジメントや企画立案、課題解決に必要な
知識や技能について学ぶ
15時間

小笠原正明先生
北海道大学 名誉教授
専門:放射線化学,考古物理化学,科学技術教育

岩野雅子先生
山口県立大学 国際文化学研究科長 / 日本国際文化学会 常任理事 会長
専門:多文化教育,異文化交流,国際理解

吉武博通先生
情報・システム研究機構 監事
東京家政学院 理事長

芝田政之先生
沖縄科学技術大学院大学 特別学長補佐
専門:大学マネジメント

杉本 和弘東北大学 教授(プログラム担当者)
戸村 理東北大学 准教授(プログラム担当者)
蔦田 敏行茨城大学 准教授
谷川 裕稔四国大学短期大学部 教授
羽田 貴史東北大学 名誉教授
鈴木 克明熊本大学 教授
宮本 友弘東北大学 教授
吉武 博通情報・システム研究機構 監事,東京家政学院 理事長
杉谷 祐美子青山学院大学 教授
土屋 俊大学改革支援・学位授与機構 特任教授
工藤 潤大学基準協会 事務局長
伊藤 敏弘日本高等教育評価機構 事務局長/評価研究部長
玉井 克哉東京大学 教授
太田 浩一橋大学 教授
小笠原 正明北海道大学 名誉教授
柳澤 康信岡山理科大学 学長
大森 昭生共愛学園前橋国際大学 学長
吉田 文早稲田大学 教授
深堀 聰子国立教育政策研究所 高等教育研究部長(収録時)
浅野 茂山形大学 教授
木村 拓也九州大学 准教授
楠見 孝京都大学 教授
林 隆之大学改革支援・学位授与機構 教授(収録時)
乾 喜一郎株式会社リクルートライフスタイル
駒橋 恵子東京経済大学 教授

都竹茂樹さん
熊本大学教授システム学研究センター 教授

コメント
大学教員になって10年、大学の果たすべき役割を改めて考えたく、プログラムを受講しました。この2年間はアドバイザーの親身で的確なコメント、東北大学の先生・スタッフの温かい支援、高い志を持った受講者との学び合い、国内外の大学への訪問調査など、個人ではなかなか実現できないことを幅広く経験・学ばせていただきました。決して楽なコースではありませんが、ご自身の組織の課題を解決・改革したい方には是非お勧めします。(2018年度修了)

髙良要多さん
桃山学院大学 教務部教務課 専任職員

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所属する大学の共通教育をなんとかしたい。そんな思いから、プログラムへ参加。様々な学びのリソース、アドバイザーや受講者の忌憚のない意見やアドバイスを通して、「思い」が具体的な「施策」へと変わっていき、実際に共通教育のカリキュラム改革を進めることができています。どのように学内のキーパーソンや教職員を巻き込み、主体を「自分」から「組織(大学)」に変えていくのか、その改革手法をプログラムから学ぶことができました。(2018年度修了)

関沢和泉さん
東日本国際大学 教育改革推進室 准教授・室長兼IR室長

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大学は設置形態や履歴により多様な状況を抱えています。このプログラムの優れた点は、各参加者が所属大学の個別文脈の中で自身が取組む課題を持ち寄り、期間中に解決を試行錯誤し、その過程をアドバイザーの先生方のコメントと共にみんなで共有できることです。また、随所に高等教育を巡る一般的背景を学ぶ機会も設定されており、時代的趨勢と個別文脈を有機的に結び付ける形で、現場に根差した実践知を深めていくことができました。(2016年度修了)

荒木利雄さん
龍谷大学 総務部長兼業務改善推進室長

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このプログラムを通して、他大学の教職員と共に学び合うことができ、大きな資産となるネットワークを形成することができ、自身の成長に繋がりました。また、各アドバイザーや受講者からいただく貴重なコメントから、多くの新たな知見を得ることができました。私が学び得たこととして、「物事を構造化して考える」習慣が身についたこと、「物事を俯瞰して捉える」ようになったことをあげることができます。(2014年度修了)