2011
PFFP
大学教員準備プログラム
2011年度プログラム
2011年度プログラムには,院生14名,ポストドクトラルフェロー1名,新任教員3名が参加しました。
PFFP ワークショップ(オリエンテーション)
2011/11/19(土)10:00~16:30
PFFPへようこそ
2012年度東北大学大学教員準備プログラム(Tohoku U. PFFP)の参加者の顔合わせです。自己紹介、プログラムの説明、日本の大学が直面している課題、大学教員の仕事と専門性(講義)、事務手続き等を行います。このオリエンテーションを通してお互いのことを知り、これからの活動にむけての準備を始めます。
・PFFPの目的に関する講義
・2011年度PFFP参加者の報告
・大学教員の役割と専門性に関する講義
・課題とリフレクティブ・ジャーナルの説明
授業の基礎知識を得る
2011/11/28(金)13:30~17:00
大学の授業の基礎編①
講師:串本 剛 高等教育開発推進センター講師, 邑本 俊亮 情報科学研究科教授,倉元 直樹 高等教育開発推進センター准教授
大学の授業に関する計画,実施,評価の諸側面を学びました。「計画」では授業設計の基本とシラバスの書き方を,「実践」では効果的な講義の仕方を,「評価」では測定の原理と成績評価の実際を取り上げました。
・授業の全体を構想しシラバスに表現する
・授業をマネジメントする
・教育測定の原理と成績評価の方法
英語のプレゼン力をつける
2011/12/3(金) 10:00~16:00
英語で授業を
講師:トッド・エンスレン 高等教育開発推進センター講師, ヴィンセント・スクラ 高等教育開発推進センター講師
教室で使う英語表現や第二外国語でのコミュニケーションにおける課題など,英語で授業をするノウハウを学びました。
10分程度の模擬授業を行い,英語で授業を行う体験をしました。
・Cross cultural communication
・Skills for teaching in English
・Classroom English
・Microteaching
自分の授業をみつめる
2012年1月9日(木)13:00~18:00
自分の授業をみつめる ~ マイクロティーチング ~
参加者は90分の授業計画をたて、その内の10分程度を実際に行います(これをマイクロティーチングといいます)。他の参加者やメンターからのコメントをもとに、自分の授業をふり返ります。また、授業の様子はビデオで撮影し、後日、自分の授業を見直す際に利用します。
・マイクロティーチングの実践
・フィードバックセッション
・セルフリフレクションの実践
諸外国の高等教育を知る
2012年2月22日(水)13:30~17:30
大学教育制度と役割について考える~日・米・豪の比較
講師 :羽田 貴史 高等教育開発推進センター教授,吉良 直 日本教育大学院大学教授,杉本 和弘 高等教育開発推進センター准教授
アメリカ,オーストラリアの専門家を講師として招き,それぞれの国の高等教育について学び,バークレー/メルボルン集中コースに向けて準備をしました。また,日本の高等教育,特に東北大学の教育について学び,参加者同士のディスカッションを通して海外の高等教育との比較をしました。
・アメリカの高等教育に関する講義
・オーストラリアの高等教育に関する講義
・参加者同士のディスカッション
先端的PFFPで学ぶ
2012年3月3日(土)~12日(月)
バークレー集中コース
カリフォルニア大学バークレー校にて,キャンパス見学や授業参観を行い,学生の学びを促進するために大学がどのような教育環境を 整えているのかについてフィールドワークを行いました。GSI教育研究センターの講師陣と共にバークレーの教育制度やTA制度などについて 議論を通して学びました。
・バークレーの教育制度やTA制度に関する講義
・キャンパスや授業参観
・教員やTAに対するインタビュー
メルボルン集中コース
オーストラリア メルボルン大学 高等教育研究センターの講師陣による”University Teaching Certificate” を受講しました。コースでは,教授法,学習,授業設計などに関する理論を学び,学生の学びを促進するような授業の設計ができるようになることを目指して熱心に取り組みました。
・バークレーの教育制度やTA制度に関する講義
・キャンパスや授業参観
・教員やTAに対するインタビュー
参加報告会
2012年3月22日(木)13:30~17:30
2011年度Tohoku U. PFFP の参加報告会を実施しました。特に,海外集中コースでの異なる体験を共有し,大学教員職や教育に関する理解をさらに深めました。最後に,高等教育開発推進センターより修了証の授与を行いました。
・バークレー集中コース報告
・メルボルン集中コース報告
・メンター教員からのコメント
・修了証授与
・懇親会
成果報告:
本プログラムでは,課題レポートの提出と参加報告会での発表により、プログラムの成果を報告してもらいました。
課題レポート:
研修で取り上げた内容や作成したポートフォリオを適宜参照しながら4,000字程度でまとめ課題レポートとして提出してもらいました。
テーマ:「あなたが考える学生にとって大学でのよい学習経験とはどのようなものだと考えますか。また、そういった学習経験を実現するために、大学や大学教員は何をするべきだと考えますか。」
教育観を構築する
ポートフォリオの作成
プログラムを通して、大学教員という仕事や大学教育に関する考え方がどのように発展していったのかを記録し、自分なりの教育観を構築します。このように記録を集積したものをポートフォリオとよびます。ポートフォリオをみると、達成したこと、そしてそこまでのプロセスがわかるため、自己省察に有益な方法です。Tohoku U. PFFPではGoogle Appsというインターネット上のシステムを利用してポートフォリオを作成します。
学生にとって、大学でのよい教育経験とはどのようなものだと考えますか。また、そういった教育経験を実現するために、大学や大学教員は何をするべきだと考えますか。」という問いについて、研修やその他の活動を通して考えたことを記録していきます。また、メンター教員という役割の教員が、定期的にポートフォリオを読み、コメントを記入します。コメントの目的は、作成者が表現したいと考えていることをより明確にしたり、別の視点から考えたり、客観的に振り返ることを促進することです。
先達から学ぶ
2011年は6名の教員がメンターとして活躍しました。
海老澤 丕道 先生
教養教育院総長特命教授、東北大学名誉教授(大学院情報科学研究科)理学博士
専門分野:理論物理(超伝導/超流動、ナノ物理学)、ゆらぎ科学
関根 勉 先生
高等教育開発推進センター 理科実験教育室 教授
専門分野:無機化学(放射化学),原子力学
芳賀 満 先生
高等教育開発推進センター 人文社会科学教育室 教授
専門分野:古代ギリシア・ローマ、古代オリエント、歴史学、考古学、美術史
佐藤 勢紀子 先生
高等教育開発推進センター 日本語研修室 教授
専門分野:思想史(日本思想史)、日本文学、科学教育、平安文学における仏教思想、アカデミック・ジャパニーズの教材開発、外国語としての日本語の教授法
北原 良夫 先生
高等教育開発推進センター 語学教育室 准教授
専門分野:言語の形式文法からの研究、言語データ処理への統計学的アプローチ、高等教育に関する研究
Todd Enslen 先生
高等教育開発推進センター 語学教育室 講師
専門分野:英語教育、語用論的能力の発達
メンターからのコメント
「メンターの活動を通して、時々、初心に戻ることができたのは良かったです。もはや手垢のついた行為になっていること(=授業)が、初々しい学生に接すると、 また自分においても輝きを取り戻す気がしました。つまり、言い換えれば、自分の授業の行い方を反省することを強制されたといえますが、これは大変に役立つ 良いことだと思います。」
「参加者がそれぞれ非常に読みごたえのあるポートフォリオを出してくれたので、その中からこちらに訴えてくる、自分の記憶や考えを引き出してくれる記述を見つけることができました。自分にとってもこれまでの教育経験を振り返るいい経験になりました。」
参加者紹介
2011年度プログラムの参加者です。(学年・職階は2011年度当時)
情報科学研究科 D2 徳吉 陽河
文学研究科 D1 中川 恵
教育学研究科 D2 黒澤 泰
文学研究科 専門研究員 森 新之介
法学研究科 准教授 白井 正和
国際文化研究科 D4 Sandu Roxana
国際文化研究科 D3 房 志新
国際文化研究科 D2 呉 蘭
医学研究科 D1 木内 敬太
理学研究科 助教 文 泌景
国際文化研究科 D2 川井 一枝
工学研究科 D2 宮崎 怜雄奈
工学研究科 D3 吉川彰布
医学研究科 D2 唐 志明
文学研究科 准教授 永吉 希久子
文学研究科 D1 吉良 洋輔
薬学研究科 D2 笹野 裕介
情報科学研究科 D3 韓 放
参加者の声
■PFFPに参加したことは非常に有益だった。研究について考えることとは別に、自分のキャリアについて考えることができたからだ。(文学研究科D1)
■大学教員が「学術研究の研究者」と「高等教育、専門教育の教育者」という2つの性格を持つ事は知っていましたが、大学という組織に属し、組織の一員として行動する、あるいは運営に関わるという考え方を学びました。(薬学研究科D2)
■「これさえ行えれば、(学生にとって)間違いなくよい学習体験になる」という特効薬はおそらく存在しない。より良い教育を行うためには、出来る事を1つずつ改善していく事が、結局最も大事な事だと気づくことができた。(文学研究科D1)