大学教育人材育成プログラム

Educational Management and Leadership Program for Higher Education Innovation

2013

EMLP

大学教育人材育成プログラム(2013-2014)

※EMLPとは、履修証明プログラム「大学教育人材育成プログラム(EMLP)」の略称。LADは、EMLPを発展・継承したプログラムです。

  1. プログラムの内容
  2. セミナー:高等教育基礎
  3. セミナー:高等教育マネジメント
  4. ワークショップ

概要

EMLPでは,東北大学高等教育開発推進センターの提供するプログラムに従って,2年間にわたり,計120時間のコースワークに参加します.具体的には,次のような活動を行います.

活動内容

  1. 高等教育基礎セミナー
    国内最高レベルの専門家が行うセミナー類を通じて,高等教育に関する必須の知識,基礎的な知識を学ぶ.直接参加や動画による配信など2年間で10時間程度.
  2. 高等教育マネジメントセミナー
    専門家が提供する教育マネジメントのための基礎学習.リーダーシップ論や大学管理運営論など.下記ワークショップと併せて開講される.2年間に10時間程度.
  3. ワークショップ・シリーズ
    各学期に1度開催される,2泊3日程度の集中的なワークショップ.各参加者は,改革課題を持ち寄り,アドバイザーや他の参加者との対話,討論を通じて,主体的に学習.2年間で総計100時間程度.

詳細

下記の説明をご覧ください.

概要

高等教育の改革を進めるうえで必要とされる知識・技能は,今日膨大なものに至っていますが,その中から内容を精選し,世界との比較から相対化して眺めた場合の日本の高等教育の現状や,日本の大学教育の在り方,大学教員の成長・キャリアなどを学びます.また,海外でのフィールドワークが予定されていることから,カナダにおける高等教育の実態や,フィールドワークの技法などの学習機会も設けられています.

活動内容

詳細

世界の高等教育政策
グローバル化が進行するなか,世界の高等教育には,質保証や市場化といった共通課題に向けた取り組みが求められています.本セミナーでは,欧州,米英豪,アジア太平洋の主要な国・地域で展開されている高等教育政策を概観し,21世紀高等教育の方向性を考えます.

比較から見る世界の高等教育
世界各国で展開されている高等教育には共通性と差異性が見られます.本セミナーでは,いくつかの共通の視座や指標を手がかりに世界の高等教育を概観することで,日本の高等教育の立ち位置を相対化できる比較的視点の獲得を目指します.

大学教育論
大学教育は現在,マス化・ユニバーサル化といった内的要因に加え,社会におけるグローバル化・知識社会化等の外的要因を背景に,教育内容・方法の質的変容が迫られています.本セミナーでは,「教養」と「専門」の二項対立を越えて目指すべき新しい大学教育のあり方について考えます.

カナダの高等教育
ステップ2での学びをより有効なものとするため,カナダという社会,カナダの高等教育制度を学びます.カナダの全体像や概要を踏まえたのち,特にオンタリオ州の教育制度をとりあげ,制度の特徴について講義します.

比較の視点を養う
直面している課題を様々な視点から眺め,相対化する技法としての比較を学びます.過年度のプログラム参加者に自身の経験を講義してもらったのち,第2ステップへの取り組み方について参加者全員で議論します.

職業としての大学教員論:能力,キャリア,倫理
本セミナーでは,一般に理解されている大学教員像―大学のなかで研究や教育活動を担う存在―から理解を更に深めるため,大学教員に求められる資質や役割,キャリアパス,そして大学教員が備える倫理について講義します.

概要

改革を通じて所属組織に貢献するためには,大学がどのように運営されているのかを一段深く知ることも求められます.近年注目を浴びつつある,高等教育機関におけるリーダーシップの在り方や,データの分析・解釈の基礎的な技術,それに基づいた教育改善の進め方などを学びます.

活動内容

詳細

リーダーシップと意思決定
大学を取り巻く環境が厳しさを増すなか,大学を経営・教学の両面でいかに戦略的かつ効果的に運営するかが問われています.重層的な組織構造をもつ大学において,その諸機能を十全に発揮させるにはいかなるリーダーシップと意思決定が必要なのかについて考えます.

データ分析・解釈の技法
高等教育をめぐる事象が多様化するなか,教育改善や意思決定の現場に立つマネジメント人材には,それらをできる限り客観的に整理し解釈できる基礎的素養が求められています.本セミナーでは,収集したデータを分析し解釈するためのベーシックな技法の修得を目指します.

データに基づく教育改善
高等教育における組織的な教育改善に向け,学内情報・データを収集・分析する機関研究(Institutional Research: IR)の役割が重要性を増しています.本セミナーでは,いかなるデータを収集・分析し,いかに教育改善に結びつけていくのか,そのための知識や技能を学びます.

大学管理運営論
大学で行われる教育研究の営みを支えるのが管理運営です.このセミナーでは,大学における管理運営について,特に国立大学に焦点を絞りながら,制度的な特質と実態について理解することを目指します.

SD/PD論
高等教育機関をマネジメントする上で,構成員である教職員の職能成長の実態を知ることは欠かせない要素になっています.本セミナーでは,特に大学職員の職能成長を主にしつつ,教職員の職能成長の実態と課題について講義します.

職員開発論
大学職員の職能成長の実態を知った上で次に必要となるのは,いかに職能成長を支援すれば良いかという実践的な側面です.このセミナーでは,大学職員の能力開発の現状と課題を知り,グッドプラクティスへとどう昇華させれば良いかと学びます.

概要

このプログラムの柱は,自身が所属する高等教育機関の改善を進めるための案を作成することです.改革案作成を進めるうえで,座学を通じた知識もさることながら,改革に精通した国内外の先達や,他の機関で実際に改革に取り組もうとしている教職員との対話は,有益です.海外でのフィールドワークを含む,計5回のワークショップを通じて,参加者たちは自身の改革案へのアドバイスやフィードバックを得ます.

活動内容

ワークショップ(一部セミナー含む(*1)):計96.5時間

詳細


1st step: キックオフ・ワークショップ ~教育マネジメントの視座を得る~

イントロダクション
当履修証明プログラムの構造や目標について概説します.ここでは特に,プログラムを受講しながら作成する最終課題がどのような能力を獲得することを目標として設定されているかという視点から,履修プログラムの構造を理解し,受講のレディネスを獲得します.

カナダの高等教育
※高等教育基礎セミナー欄参照のこと.

リーダーシップと意思決定
※高等教育マネジメントセミナー欄参照のこと.

大学教育論
※高等教育基礎セミナー欄参照のこと.

比較の視点を養う
※高等教育基礎セミナー欄参照のこと.

データ分析・解釈の技法
※高等教育基礎セミナー欄参照のこと.

課題研究Ⅰ
当履修証明プログラムにおいて参加者は所属機関の解決すべき課題を持ち寄り,改革案を作成することが求められます.課題研究Ⅰは,所属機関の課題を発見し,その解決に必要な情報収集・分析を行い,改革案につながる「改革プラン」を作成する時間として設定されています.※この時間は,「改革プラン」の提出・発表,アドバイザーのコンサルテーション受講の双方が揃って認定されます.

課題に関する発表・討議Ⅰ
改革案を作成する上で,多様な視点からのチェックは欠かせない要素です.参加者は,各自の「改革プラン」を発表し,他の参加者やアドバイザーを交えた討議を通して,新しいアプローチの発見や多様なアイディアを獲得することを目指します.

アドバイザーとの対話
上記の「課題に関する発表・討議」で獲得した多様な視点を踏まえ,大学改革やマネジメントに精通したアドバイザーとの1対1の対話を行い,改革案を改善させます.


2nd step: Queens – Tohoku Joint Program ~問題への多様なアプローチを知る~

Week Overview
1週間にわたって行われる Queen’s -Tohoku Joint Program の構造について解説し,より有効な学びのためにどう取り組めば良いかを学びます.

Individual Consultation
参加者は,各自の課題作成にとって有益な情報収集と有効な学習が可能となるよう,クィーンズ大学教授・学習センターの教員・デベロッパーより助言を得ます.

Group briefing: 1st step to Scholarship of Teaching and Learning
参加者は,予定されている各種のセミナーとIndividual Project(後述)での活動とそこでの成果を自身の改革案に反映させる意識付けを行うべく,改革案を構成する要素の関係性を改めて批判的に捉える方法を学びます.
自身の改革プランを振り返り,Queen’s ? Tohoku Joint Programの各セミナーやIndividual Project(後述)での学びを改革案作成にどう活かせるかを,批判的に検討します.

Organizational Development: Leadership and Decision Making
リーダーシップと意思決定について,基礎的知識を改めて確認したのち,カナダ高等教育の文脈においてどう機能しているのか,実態について学びます.

Panel Discussion on Leadership and Decision Making in University Setting
カナダ・クィーンズ大学において実際にマネジメントに携わる人物を招き,ディスカッションを通じて,リーダーシップと意思決定の実際を学びます.

Improvement of Learning and Teaching
教員の教育活動を改善していくには,教育・学習をめぐる自らの信念や実践を振り返ることが効果的です.このセミナーでは,各種の改善ツール,特にティーチング・ドシエー(ティーチング・ポートフォリオ)がどのようなもので,どのように役立てられるかを学びます.

Student Learning: how to make students active learner
このセミナーでは,学生の学習スタイルなどを把握するツールや,学習を活発にするツールについて学び,学生の能動的な学びをどう実現するかについて学びます.

Effective Communication: how to build collaborative relationships with colleagues
高等教育機関でリーダーシップを発揮する上で,フォロワーとのコミュニケーションが重要な役割を担います.このセミナーでは,協働的な関係を構築するために効果的なコミュニケーションのスタイルを経験し,獲得することを目指します.

Leading Innovation and change
高等教育機関の改革を進めるうえでは,機関内に変革を根付かせる方法論が求められます.このセミナーでは,イノベーションに関する基礎理論をケースの分析を通じて理解します.

Scholarship of Teaching and Learning
このセミナーでは,SoTLとは何かという知識の獲得と,改めて1週間の活動と学びをSoTLの観点から整理し,改革案への示唆を獲得します.

Group Debrief
1週間かけておこなってきた活動を評価し,その評価を参加者で共有します.自身が持っていなかった評価の視点や共有できるポイントなどについてディスカッションし,2nd step終了後の活動について計画を立てます.

Action Learning (Individual project)
カナダ・クィーンズ大学をフィールドに,自身の改革案作成に資する情報収集を行います.1st stepで得たカナダ高等教育に関する知識や,クィーンズ大学教授・学習センターのファシリテーターの助言を参考にしつつ,実際に関連部署へのインタビューや資料収集などを行います.


3rd step: コンサルテーション・ワークショップ ~議論を深め改革案を完成させる~

課題研究Ⅱ
課題研究Ⅱでは,2nd stepの成果を日本に持ち帰り,その後の時間も利用して,改革案を改善していきます.改善した改革案は,「課題に関する討議・発表Ⅱ」を経て完成させ,提出します.※この時間は,「改革案」の提出とアドバイザーのコンサルテーション受講の双方が揃って認定されます.

課題に関する発表・討議Ⅱ
※1st stepの課題に関する発表・討議Ⅰを参照のこと.

アドバイザーとの対話
※1st stepのアドバイザーとの対話を参照のこと .

データに基づく教育改善
※高等教育マネジメントセミナー欄参照のこと.

大学管理運営論
※高等教育マネジメントセミナー欄参照のこと義
・教授学習法,教育研究倫理に関する講義
・授業参観
・教員やTAに対するインタビュー


4th step: ステップ・アップ・ワークショップ ~改革案を試行する~

課題研究Ⅲ
課題研究Ⅲでは,完成させた改革案を(試行的に)実行する過程で直面した課題や新たな知見等を盛り込みつつ,各所属機関において改革がどのように進捗しているのかについて,「進捗報告」として整理・分析します.※この時間は,「進捗報告」の提出とアドバイザーのコンサルテーション受講の双方が揃って認定されます.

課題に関する発表・討議Ⅲ
改革案を実行していったことで得られた知見等を共有し,プログラム参加者同士で共有することで,自身のプロジェクトに対して有益な視点を獲得する余地がないか,自身の改革案を批判的に捉え,改善することを目指します.

アドバイザーとの対話
※1st stepのアドバイザーとの対話を参照のこと.

SD/PD論
※高等教育マネジメントセミナー欄参照のこと.

職員開発論
※高等教育マネジメントセミナー欄参照のこと.


5th step: ラップアップ・ワークショップ ~試行した案を検証し,改革を推進する~

課題研究Ⅳ
課題研究Ⅳでは,課題研究Ⅲや課題に関する発表・討議Ⅲで振り返りを行った結果を踏まえ,「進捗報告」がどのような帰結になったか,「最終報告」として整理・分析します.※この時間は,「最終報告」の提出とアドバイザーのコンサルテーション受講の双方が揃って認定されます.

課題に関する発表・討議Ⅳ
※4th stepの課題に関する討議・発表Ⅳを参照のこと.

アドバイザーとの対話
※1st stepのアドバイザーとの対話を参照のこと.


※東北大学大学教育支援センターが提供するProfessional Development Programを各参加者の必要に応じて自由聴講の科目として受講し,学習内容を補完することが可能です.

○プログラム・イメージ